北鎌独標にて
【北鎌独標にて/北鎌尾根単独登攀】 画像クリック(拡大)
伊那市に住むN君から届いた年賀状に一文が添えられていた。 「写真を整理していたら “槍ケ岳山荘” のタグが出てきたのでメモ帳にはさんでなつかしく見ています。もう55年になりますネ」とあった。 N君は同期入社で寮住まいの同じ釜の飯を食べた仲間で、よく山行を共にした。
それは1967年(昭和42)10月、天上沢から槍ケ岳と北穂高岳を三泊四日で縦走した山行で、ルートは七倉→湯俣→千天出合→天上沢→水俣乗越(東鎌尾根)→槍ケ岳→大キレっト→北穂高岳→涸沢であった。
二日目に降雪があった。標高3000mの夕刻、金色に縁どられた雲間から放たれた光りが雪の山岳を照らし、やがて銀赤色に輝く壮麗なアーベンロートとなった。それは神々の領域の光景のようでもあり、危険な氷雪の大キレット越えとともに、N君の中に確かな記憶として残っているに違いなかった。
湯俣→千天出合→天上沢→水俣乗越のルートは、元々一般登山者が立ち入るルートではなかったが、長い歳月の中でやがて廃道となり、今は国土地理院の地図からも消えている。
天上沢からバリエーションルートである、槍ケ岳の北鎌尾根を単独登攀(写真)したのは翌年の秋であった。
(槍ケ岳北鎌尾根 October 1968 フォトファイルより)
● こちらのブログ記事もご覧ください → 北鎌尾根
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