信州の春
【信州の春】 浅間山麓の三月(小諸) 画像クリック(拡大)
三月も半ばとなると都会から桜の便りが届くようになるが、標高が高くまだ冬枯れ色の佐久地方では実感がない。 島崎藤村は 『千曲川のスケッチ』 にこの山上の地の春を次のように記している。
島崎藤村著 『千曲川のスケッチ』 より
三月末か四月のはじめあたりに、君の住む都会の方へ出掛けて、それからこの山の上へ引返して来る時ほど気候の相違を感ずるものは無い。 東京では桜の時分に、汽車で上州辺を通ると梅が咲いていて、碓氷峠を一つ越せば軽井沢はまだ冬景色だ(中略)。 (だが) 四月の十五日頃から、私達は花の世界を檀(ほしいまま)に楽しむことが出来る。それまで堪えていたような梅が一時に開く、梅に続いて直ぐ桜、桜に続いて李(すもも)、杏(あんず)、茱萸(ぐみ)などの花が白く私達の周囲に咲き乱れる。 台所の戸を開けても庭へ出掛けて行っても花の香気に満ち溢れていないところは無い。 懐古園の城址へでも生徒を連れて行ってみると、短いながらに深い春が私達の心を酔うようにさせる…… 。
(14 March 2021 長野県小諸市天池)
●こちらのブログ記事もご覧ください。
浅間山と小諸 ・ 島崎藤村: 信州・浅間山麓から (cocolog-nifty.com)
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