南天 (Nandina domestica)
【南天 (Nandina domestica)】
年の暮れになると毎年正月用の見事な南天を届けてくれる家があった。 近在の農家で、老いた夫婦二人で暮らしていたが、やがて両養子を迎え、孫が届けてくれるようになった。 父はそれを古くからの流儀にのって上手に生けた。
その家は古くは生け花の師匠であったと云い、先々代の頃より南天一枝に託した床しいお付合いをいただいていたようである。
あれから四十年余り、老夫婦はとうに亡くなられ、一家もお孫さんの勤務の都合で街へ移られたという。 空き家となった屋敷の隅に南天の実が赤々と茂っている。
(December 2008 長野県上田市 塩田平にて)
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