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2007年1月19日 (金)

山の動物事情

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【 山の動物事情 】

 「カモシカを見た」 「熊出没 注意」 「猿がいた」 …… 等々、  近頃、我々のことが巷で話題になっているようだ。 気候のせいだとか、山の開発が進み動物が棲めなくなったからだと言う御仁もおるが、とんだ見当違いというものである。
 かつて人間たちは、我々が住む山上高くまで上がってきて、畑を耕し、山仕事に精をだしておった。 賢明な我々は、そんな人間たちに敬意を表し、その辺り一帯を人間の領分と認めて、住み分けていたのである。
 ところが、である。  いつの頃からか人間たちの姿が見えなくなっていった。  山は荒れ放題だ。 山の畑は葛や雑木が生い茂り形すら分からなくなった。 そして遂に、人間を一度も見たことがないという仲間まで出てきた。
 そんなわけで、1997年、高峰山で開いた 「浅間連峰山岳鳥獣サミット」 で 「我々の領分は天空から山裾まで、人間たちの領分はそれ以下」 と決めて宣言したのである。 まぁ~ 自然の摂理に叶った順当な判断というべきであろう。
 時折、人間たちの生態を観察しに行くのだが、その棲息数にはびっくりする。 しばしば姿を見られてしまい、姦しい人間たちの恰好の話題になってしまうのである。 この間などはデジカメとやらを向ける人間がおったので、思わずポーズをしてしまった。
 新たな領分は実に快適である。 食糧も豊富だ。  仲間は次々と数を増やした。 皆生きいきと暮らしている。 思うに 「獣も 人も 天地の虫」、我々動物世界も人間世界も 共に平和であって欲しいと願う、今日この頃である。

(1 May 2001  長野県上田市 須川集落にて)

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コメント

おはようございます。  まさに 猿君が話しているような写真と文がぴったりです。う~ん なるほど そうか。 人間の身勝手からなのかと 反省させられます。

投稿: パソコン慣れしてない母 | 2007年1月20日 (土) 09:46

そうですか、私たちが見られていたんですか・・・猿が山から降りてきたなんて、不遜なことを考えていましたね。 動物と人間がともに、平和に生きてゆけたらいいですね。それには、我々人間が、もっと謙虚にならなくては・・・   

投稿: なずな | 2007年1月20日 (土) 22:18

パソコン慣れしてない母様
我々について、ご理解をいただき、誠にありがとうございます・・・猿之助 

投稿: 猿之助 | 2007年1月20日 (土) 23:15

なずな様
またまたご理解のほど、ほんとうにありがとうございます・・・猿之助

投稿: 猿之助 | 2007年1月20日 (土) 23:21

とは言うものの、人間世界は懲りない面々が大勢いますから、ご用心もお忘れなく!

投稿: なずな | 2007年1月21日 (日) 01:01

なずな様  こんにちは ◆ふくろう博士の指導のもと、人間研究も大分進んでおります ・・・ えんの助 拝

投稿: 猿之助 | 2007年1月21日 (日) 11:29

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