Photograph 1926
【Photograph 1926】
1926年9月、アメリカ合衆国ユタ州ガーランド。 先生と23人のこどもたち、その
中にオカッパ頭の日本人の少女(中列・右から2人目)がいる。
少女の名は Kiyoko Akagi 6歳、小学校入学時の写真である。
時代は、第一次大戦から8年、主戦国の一つであったアメリカや、戦場となった
欧州にようやく平和と落ち着きがもどり、日本は大正ロマンチシズムのなかにあっ
た。 だが、やがて起こる経済恐慌、列強の対外政策をめぐる確執、ナチスドイツ
の台頭 ―― 戦争の影は静かに再びしのび寄ろうとしていた。
帰国後、莉発で美しく成長した彼女は、師範学校をでると、単身、満州国の首都・
新京に赴任する。当時の国情と外国育ちの彼女にしてみれば、それはごく普通の
選択であったに違いない。同じこの地で教師をしていた私の叔父と出会い結婚する
が、平穏な日々は長くはなく、やがて二人は大戦争の渦の中に呑み込まれていく。
2003年秋、叔母の一年忌法要でこの写真を見たとき、この小さなこどもたちに
限りない “ いとおしさ ”を覚えた。 こどもたちの進んだ先にあったのは、あの戦争
という不幸以外、考えられなかったからだ。
(4 October 2003 東京都港区)
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