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2005年11月17日 (木)

牧 場

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【 牧場 】

 信州佐久平のほぼ中央に、地元の人たちが 「種馬所」 あるいは 「種畜牧場」 と呼んでいる牧場がある。 日露戦争でロシヤ騎兵団の威力を目のあたりにした陸軍からの軍馬改良要請を受けて、明治39年に 「国立長野種馬所」 として拓いた牧場であるという。
 馬と人の絆は強い。庄野英二著 『星の牧場』 は、第二次大戦で戦地に送られたまま帰ることのなかった軍馬の哀しみと、牧夫の深い想いを綴った童話である。

 「春まだ浅い日の夕方、浅間山の噴火口をずっと離れた横の方から、突然、星が一つとび上がったのを見たのです。 空中で二秒ほど光っておりまして、それから消えたのです。 それから私は空想いたしました。 あの星の落ちているところにきっと星の花がいっぱい咲いているのではなかろうかと。 そういうところから童話的空想を次第に暖めていったのです 」 ―― 著者はこの童話の誕生をこう語って(※)いる。
 この童話は浅間山南麓の 「御代田(みよた)」で誕生したと云われている。

 戦後 「種馬所」 は農林水産省 「長野種畜牧場」 となって、畜産振興に大きな役割を果たしてきた。 現在は独立行政法人 「家畜改良センター長野牧場」 として家畜、牧草、種子などの研究や検定が行われている。 約30万坪の広大な敷地は解放されていて、山羊やウサギ、馬を見にくる子どもたちや、牧草地に続くカラマツ並木を散策したりジョギングする人が多い。 浅間山がたいへん美しく見える牧場である。

(April 2000  長野県佐久市 長野牧場)

(※)参考文献 :  長野県上田染谷丘高校図書館 1965年刊 『星の牧場』教材版

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コメント

写真と文がなかなかいいですね。
見るのを楽しみにしてます。

投稿: Y.Higasi | 2005年11月18日 (金) 06:42

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