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2005年10月21日 (金)

ある科学者

P-019-06822

 平成15年8月13日。 今朝の新聞が、マサチュセッツ工科大学が発見した“小惑星1998SF36”に日本のロケット開発の父として知られる、故 糸川英夫博士に因んだ “ITOKAWA”の名が付けられたと報じていた。

 先生は晩年、信州・丸子町に住まわれていて、私の関係する異業種交流開発協同組合の講演会や研究会にも気さくに応じて下さっていた。 ロケットのことはご自分から話されることはなかったが、未知なる領域への挑戦、そして失敗、無理解による多くの批判や非難の中で、世界に遅れをとるまいとする、一科学者の、国産ロケット開発の軌跡は感動的ですらある。  

 研究会での、先生とのやりとりは多岐にわたり、失敗論、技術論、ビジネス論、芸術論、果ては人類の未来を見据えた地球論に及んだ。 ご自宅に招いていただき、奥様が握ってくださったオニギリを頬ばりながらの研究会は活気に満ち、皆 楽しげであった。 庭からは東信州の山々がよく見えた。 ご病気のことがあって、余りにも短いお付き合いであったが、多くの示唆を残して去って逝かれた科学者の、静かな語り口 を今も懐かしく思い出すのである。  ―― その後、異業種交流開発協同組合は、多くの開発製品を生み出すこととなった。     写真提供 宇宙科学研究所

●平成17年9月12日、惑星探査機 「はやぶさ」 が小惑星 「イトカワ」 に到達(接近)、科学観測を開始した。 探査機は、平成15年5月9日にM V-5型ロケットによって内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、857日目にイトカワに到達した。 地球からの航続距離は20億キロという。

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