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2012年2月19日 (日)

狼森と浅間山

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       御牧ヶ原(狼森と浅間山)           画像クリック(拡大)

              尾崎喜八著 『たてしなの歌』 より
 そこから一里余りを降った望月で、或る日もっと広々とした眺望が欲しく、私は坂
を上って丘の上へ出た。 蕎麦が花咲き柿の実がいよいよ重くなる信州の夏の終
り、丘の上は晴朗な風と日光との舞台だった。
 北方には絵のような御牧ガ原の丘陵を前にして、噴煙をのせた浅間から烏帽子
へつらなる連山の歯形。 南にはその美しい円頂と肩とを前衛に、奥へ奥へと八ヶ
岳まで深まりつづく蓼科火山群と、豊饒の佐久平をわずかに隠したその緩やかな
裾。 さらに西の方にはきらきら光る逆光につかった半透明の美ヶ原溶岩台地、そ
して東は遠く淡青いヘイズの奥に蛍石をならべたような物見・荒船の国境連山と、
其処に大平野の存在を想わせる特別な空の色。
 それは晴れやかな、はろばろとした憂鬱な、火山山地の歌であった。
                                           (1934年)

                                  (Photo. : 19 February 2012  長野県小諸市 御牧ヶ原)

●こちらの記事もご覧ください → 『たてしなの歌より(牧夫の言葉)』 

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コメント

ある寒い日の1日、そして暮れようとしている少しさびしい感じもしますけど、今を見れてうれしいですね。

投稿: tontan | 2012年2月20日 (月) 09:13

tontan様
刻々と変わる、それはそれは美しい夕暮れの色合。 
空と海と雲とタボチョ山……サイパン島の夕暮れもきっと素敵なことと思いますshine

投稿: 蒼山庵 | 2012年2月20日 (月) 19:34

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