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2009年12月 1日 (火)

ある天体望遠鏡

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【 ある天体望遠鏡 】                Photo. 津上レビュー

 15万平方メートルといわれた広い工場の敷地内に片流れの建屋があった。 それは屋根全体が斜め下方へスライドして天井部が大きく開口する構造になっていた。 試作品などの倉庫になっていたが、一台の大型天体望遠鏡の観測試験・調整棟として建てられたものと云われていた。 建屋の上に広がる広大な佐久の空 ――  二十代前半の技術屋かけだしの頃であった。
 先日、京都大学飛騨天文台のホームページで一台の天体望遠鏡に目がとまった。 「60cm反射望遠鏡」 ――  重厚な美しいフォルムと、そのいかにも堅牢そうな鋳物の架台には、直ぐそれと分かる会社のマークがあった。  1960年製との記述があるから、ほぼ半世紀にわたり稼動してきたことになる。 微光天体の観測や恒星の活動現象観測に今なお使用されているという。
 製造当時は世界的にも最大級の天体望遠鏡と云われ、その製造には多くの困難があったという。 技術重視の会社であったから、高度技術の蓄積と学術界への貢献を優先し採算は二の次であったようである。 勤務先であったこの会社からは実に多くのものを考え、多くのことを学んだ。 技術屋にとっては随分恵まれた環境であったと今でも思っている。   (1 December 2009  長野県小諸市 自宅にて)
 
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出典 京都大学飛騨天文台オフィシャルサイト
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/general/facilities/60cm/ 

<京都大学 飛騨天文台 60cm反射望遠鏡>
・製造       1960年 津上製作所 (現、㈱ツガミ)
           京都大学理学部委託による設計製造
・ 口径              600mm
・ 焦点距離        3,300mm(主焦点)、12,000mm(カセグレン焦点)
・ F-数       5.5(ニュートン式)、20.0(カセグレン式)
・ 分解能     0″19
・ 集光力     7,400
・ 限界等級       16.1等級
・ 日周精度       1.5″/30分時
・ 筒の大きさ    860mmφ×3,700mm
・ 望遠鏡総重量 4.5トン

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