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2009年7月 5日 (日)

雪国

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【雪国】
 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
 信号所に汽車が止まった。 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。 雪の冷気が流れこんだ。 娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように 「 駅長さあん 駅長さあん 」 明りをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。 
 もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。
                           (川端康成著 『雪国』より)

 川端康成著『雪国』ですが、今も読まずにおります。 冒頭にながれる静謐な叙情がすべてをもの語るかのような、そんな想いがあるのです。

 (フォトスケッチ : 平成21年7月5日 新潟県南魚沼郡 越後湯沢にて)

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