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2006年3月16日 (木)

礼服

06223img_2788 小諸の住宅街の通りで、テーラーの看板を目にした。 懐かしい思いとともに、ずうっと昔、独身の頃に、東京の叔父が誂えてくれた礼服のことを思い出した。
 当時は、スーツや礼服はテーラーに注文するのが一般的であったが、安サラリーではなかなかたいへんであった。
仕立代が月給の二、三倍はしたのである。
 叔父に連れられて行ったのは、荒川の堤に近い通りで、丁寧な仕事をするという、職人さんが開いているテーラーであった。 知己の間柄であったようである。

 あれから三十五年、叔父も、職人さんも、既にいないが、その礼服は今も手元にある。 シャープな感じと黒生地のつややかさはそのままであるし、内側には私の名前とともに、仕立職人の誇りのように 「 TAILOR  KUDO 」 の名が印されている。
 彼岸に、叔父の法要を営むとの連絡があった。 叔父が甥のためにと誂えてくれた、この礼服を着て出席しようと思っている。 身体を包みこむように、しっくりなじむ着心地は昔のままである。 私の体形も三十五年間変わっていないのである。

                             (平成18年3月16日 蒼山庵)

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